エンジンが違えば部品も違う。大きさはもちろんだけど、使われ方も稼働年数も違う。だから整備するエンジンの部品の状態は全部違うんです。仕上げ段階での寸法の管理には最も気を遣っています。お客様から持ち込まれたディーゼルエンジンの噴射装置は、いくら完璧にメンテナンスしても、それで終わりじゃない。むしろ、そこからが始まり。うちの工場で100%の出来だと思っても、実際に船に組み込んでみないと結果は分からないんです。組み込むときのネジ1本の締め加減で、エンジンの動きが変わることもある。私たちが相手にしているエンジンは生き物だから、機械加工は毎回違う仕事になります。そこが難しいところですね。
私たちが加工して作り出しているのは唯一無二のもの。整備ではメーカーオリジナル部品を取り寄せて組み上げるんじゃなく、東京ノッズルオリジナル部品を製作している自負と責任があります。耐性があって長持ちする材料は何か。コストをできるだけ下げるにはどうするか。持ち込まれた噴射装置の図面なんかないから、全部自分たちで寸法を計測するところから始めるんです。加工に必要な治工具もオリジナルのものを作ります。はじめて見る部品でも微細なもの以外なら、何でもこいです。精密部品であるプランジャーのリード加工、スパイラル加工、段加工などの難加工品も作り上げる自信があります。それを実現するために、うちの工場にはありとあらゆる工作機械や設備が揃っているんです。
最近は船の事故が多くなったせいか、エンジンの部品規定が厳しくなりました。それに伴って、整備品質に対するお客様の要求が高くなっています。覚えなくちゃならないことも増えています。自分で調べたり、工場のみんなに聞いたり。整備品質の追求に終わりはありません。他社で断られた部品製作や整備も、工場にいるみんなの知恵と知見を合わせて応えていくんです。東京ノッズルがあって本当に良かった。そうお客様に思ってもらえることが、私たちのやりがいになっています。
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